トラリピや連続予約注文に代表されるリピート系の自動売買の場合、含み損が相当な額になっていってもひたすら耐えるのが特徴ですよね。
私の設定も安全運転では有るものの、それなりに含み損は溜まっている状況です。
リピート系自動売買はチャートがいずれ戻ってくるという性質を利用した運用方法。
なので、その含み損がいずれ利益になると信じつつ、ロスカットレートをしっかり把握しておくことで含み損の額が大きくなっていっても『まだ慌てるような時間じゃない』と冷静でいられます。
ですが、設定したロスカットレートに限りなく近づいて来たりしてしまったり、想定外の暴落が起こったりしてしまった場合。
傍観しているとアッサリ大金を失うことに成りかねないので、多くの方は損切りして維持に務める事になると思います。
私もリーマンショック以上の暴落では厳しいので、いざそのような過去類を見ない暴落が来た場合は損切りを行う事になるでしょう。
そんなリピート系の損切りについて、『含み損が少ない方から損切りしていくのが吉』という事が意外と知られていない、けれども大事な事実なので紹介しておきたいと思います。
1.含み損が少ない方から損切りしていくのが吉
含み損が少ない方から損切りしていくのが吉、と言われても、もしかしたら『ちょっと何言ってるか分からないww』と思われるかもしれませんね。
仮に今10ポジション持っていて、一番含み損が膨らんでいるポジションAがマイナス10万円、一番少ないポジションBがマイナス1万円だとした場合。
明らかにポジションAを解消した方が維持率が上がりそうですよね。
どう見ても9万円分の差がそのまま反映されそうですもの。
しかし、残念ながらAでもBでも、ポジション一つだけでは結果としては維持率は同じになります。
そんなっ!!9万円も損切りする勇気を出したのに!?
そんな疑問に対する詳細を解説していきたいと思います。
2.損切りで解消される内容
損切りで解消される内容をおさらいしておくことで、後で記載されている内容もスッキリ入ってくると思いますので、ここでしっかり把握しておきましょう。
損切りを実際に行うと、マイナスの評価額がそのまま確定となります。
それはもはや言うまでも無いかと思います。
ですが、意外と忘れがちな内容がもう一つ有ります。
それは『必要証拠金』です。
ポジションを持つ際に必ず掛かる必要証拠金ですが、損切りの際は意外と忘れ去られていることが多いようです。
むしろこっち(必要証拠金)が大事なんです。
必要証拠金は【お金が戻ってくるロッカーの100円】だと思ってもらえればしっくり来るかと思います。
- ポジションを持つ=ロッカーに荷物を預けて100円を入れる(証拠金発生)
- ポジションを決済する=ロッカーから荷物を取り出して100円回収する(証拠金解消)
当然ですがポジションがプラスでもマイナスでも、決済されればそのポジションを保有する為だけに発生していた証拠金も解消される訳です。

それは理解しているけど、証拠金がそんなに関係してくるの?
という方の為に、次の項目で実際に数字で確認してみましょう。
3.数字で検証
数字で検証するにあたり、私が簡単にリスク計算をする時に使用する表を使って確認してみましょう。
実際に私はUSD/JPY(1000通貨)にて60銭毎にトラップを仕掛ける設定にしており、110円以下は買いレンジです。
110円に到達した後、95円まで下げた場合は、下の図のようにポジション毎に評価損が発生している状況になっているハズです。(証拠金の金額は仮置ですが)
そんな状況において、【評価損を10万円分損切りする】と仮定した場合を見てみましょう。
含み損が多い方から損切りした場合は110円~105.8円の8ポジションを解消。
逆に含み損が少ない方から損切りした場合は95円~105.8円の19ポジションを解消する事で10万円分の損切りが達成出来ます。

この例だけで言うと、解消されるポジションの多い少ない、及び多少の誤差が有るものの結果は大して変わらないように見えますね。
『含み損が少ない方から損切りしていくのが吉』とかやはり迷信!という感じに成りかねません。
ですが、先程も紹介した通り、ポジションが解消されたら必要証拠金も解消されます。
これが本当に大事なんです。
解消される必要証拠金を含め合算した金額を確認してみたのが下記の図になります。
(証拠金4,500円は2021.04.13現在のものです)

なんと同じ10万円分だけ損切りをしたにも関わらず、効果としては45,600円分も差が出るという結果になりました。
更には含み損が少ない方からの場合では、合計では18万円と約2倍近くの資金を動かしたという結果になりました。
資金を動かした、という表現が適切かは分かりませんが、効果が高いのは明らかですね。
その要因はもうお分かりですね。しつこいようですが必要証拠金がより多く解消されたからです。
では、別の数字でも見てみましょう。
仮に元本が40万円と仮定して証拠金維持率を比較した場合です。
◆損切りする前は
有効証拠金(400,000-評価損195,000) 205,000
÷ 必要証拠金(4,500×26ポジション分) 117,000 = 175%
◆多い方からの場合は
有効証拠金(400,000-確定損103,200-評価損91,800) 205,000
÷ 必要証拠金 (4,500×18ポジション分)81,000 = 253%
◆少ない方からの場合は
有効証拠金(400,000-確定損102,600-評価損92,400) 205,000
÷ 必要証拠金(4,500×7ポジション分) 31,500 = 651%
維持率で見ても少ない方からのパーセンテージが圧倒的です!
ロスカット危機から一気に600%台まで上昇しました。
逆に多い方からの場合はそこまで上昇していないようにも感じられます。
ここまで来たらこの理由が何故だか分からない方はもういないですよね!?
そうです。より多くのポジション分の証拠金が解消されたからです。
ちなみに、有効証拠金は損切りしても評価損のままでも、ご覧の通りどちらにしても同じという点もここでしっかり押さえておきましょう。
4.最後に
極論を言ってしまえば、『評価損が少ない方』でも無く、『評価損うんぬんではなくポジションを数多く解消するのが吉!』が正解になります。
ですが、損切りは精神的ダメージが甚大です。
そういう意味でも、評価損が多い方のポジションを大量に解消するより、少ない方からのポジションを複数狙うほうが精神的な部分においては救われるという訳です。
更に、損切りあるあるの『損切りしたらチャートが戻ってくる』にもし当たっても、少ない方から確定していた方が更に精神的ダメージが緩和されること間違いなし、という事もありますね。
今回の内容、重要なのにハッとした方は多いのではないかと思っています。
なにせ最初の最初は私もそうでしたのでw
例え1ポジション分でも、損切りした金額が大きければ大きいほどその分比例して維持率が復活する!その分助かる!!と本気で思っていました(;´∀`)
大きな間違いです。
ポイントとしては以下の通りです。
- 損切り額が大きければ比例して維持率が向上するわけではない!
- リピート系でいざ損切りするなら、いくつポジションを解消するかを重視しよう!
この2つをしっかり把握しておきましょう。
把握しておく事で、最悪の場合に直面した時に有効な手段を打つことが出来るようになります。
特に損切りする場面=平常心ではいられないと思いますので、そんな状況下でも冷静な判断が出来るようにPCの横にメモでも置いておくなどして、日頃から準備しておきましょう。
ちなみにこの対応は複数ポジションを持つのが日常的な自動売買の場合です。
裁量トレードでも損切りの極意はまったく違うのでご注意くださいね。
しっかり資金管理していきましょうヾ(*´∀`*)ノ